精神科看護師への転職は勤務形態や長期展望について考える

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Photo by Paul Downey

精神科にどんなイメージをお持ちでしょうか。

「じっくりと患者さんと向き合える科」「心を治療していく本質的な医療」といったものから「緊急度がそれほど高くなさそうなので環境としてはラクそう」というようなものまであるでしょう。

実際に「精神科」と一口に言ってもさまざまな種類や特性がありますので、精神科への転職を考えている方はまずそれらの違いについて知っておきましょう。

精神科の分類によっても忙しさや勤務形態が全く異なる

外来か、病棟勤務か

まず最初に働く病院が外来か病棟かによって労働形態が大きく異なります。

外来勤務は外傷などの治療ではないため、緊急性の高いものではなく、治療においても投薬治療が中心になってきます。勤務状況としては残業がほとんどなく、働きやすい環境のことが多いです。

病棟勤務は通常2〜3シフトの交代制になっており夜勤もあります。大変さについては「急性病棟」「療養病棟」のどちらで働くかによって大きく変わってくるため、この2者の違いを必ず確認しておきましょう。

知っておきたい「急性病棟」「療養病棟」の違い

精神科病棟を分類すると「急性病棟」「療養病棟」に分類されます。

「急性病棟」についてはその名前の通り緊急性が高い精神病が対象。精神的な症状が急激に悪化した場合、集中的な治療が必要な場合に利用されます。報道などで出てくる刑事訴訟の鑑定入院などもこの急性病棟の分類です。
急性病棟の中で厳格な基準をクリアした「スーパー救急病棟」というものもあります。緊急性の高い患者さんに対し、素早く的確な対応をしなくてはいけないため働いている看護師さんも忙しく、残業なども多いです。

もう一方の「療養病棟」については慢性的な精神病を扱います。代表的なところで言うと「アルコール依存症」「薬物依存症」「ギャンブル依存」などのアディクションと分類されるようなもの、最近社会問題にもなりつつあるうつ病など。

これらはじっくりと根気強く長期的に治療するとものなので、その日その日で緊急性の高いことが起こるわけではなく、急性病棟と比較するとゆったりした空気です。残業も比較的少なめです。 

実際の仕事内容

実際の看護師の仕事内容は以下のようなものです。

  • 薬の管理
  • 患者さんとのコミュニケーション
  • レクリエーション(外出・レジャーのような活動)
  • ADLが落ちているような場合は身の回りの介助

一般科と異なり投薬治療が中心なのが特徴。ともかく薬の扱いが多いです。

そしてこころの病を患っている患者さんとのコミュニケーション、ここが一番重要な部分です。どういった言葉をかけてあげるのか、いつもと違うところはないかなど、細々とした配慮が必要になります。

また最近では高齢者の患者さんも増え、患者さんのADLが落ちている傾向もあり、身の回りの介助なども業務の一つとして含まれることもあります。

精神科勤務の看護師に必要な要素

精神科勤務の場合は医療行為が他の科と比較すると少なくなるため、医療経験などの大小は問われないことが多いです。

その一方で患者さんの心の問題と向き合う科なのでメンタル面が強い、あるいは辛いことがあっても忘れられる、気にしすぎないでいられるという精神的な強さが重要になってきます。特に患者さんから暴言を吐かれたりすることが日常的に起こったりする科でもあるので気にせずに受け流せる心の器量があるとベストでしょう。

また暴言だけでなく、場合によっては患者さんが暴れて暴力を受けるようなケースもあるので男性看護師が重宝される傾向にあります。 

苦労はあるものの、精神的な回復に向かっていく患者さんを見るのは精神科のやりがいでもあります。

精神科で働くことのメリットとデメリット

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Photo by 牛阿拗

 最後に精神科勤務のメリットとデメリットを見てみましょう。

メリット 

  • 急性病棟等の状況を除き、全体的には残業が少なめで生活に合わせやすい
  • 投薬治療が多いので薬の知識は広がる
  • 医療技術を使うことが少ないため、苦手な人でも対応しやすい

デメリット

  • 暴力や暴言を受けることが多い
  • こころの病を扱うので精神的な負担が大きい
  • 技術経験が減り、長期間勤めると他の科に転職する際に苦労する

まずメリットについては「働きやすい」ということがもっとも大きい部分です。家庭持ちのママさんナースの人にとっては、子育てや家庭との両立をしやすい環境と言えるでしょう。また投薬治療が多いので、注射など医療技術が苦手な人にも働きやすいです。

一方デメリットは「精神的な負担が大きい」というのが総じて言えるところでしょう。患者さんからの心ない暴言、そして精神的な病を患っている患者さんなので、つられて自分が鬱屈とした感情になってしまったり…ということも。いい意味で「気にしない」人ではないと難しいです。

またメリットの面で「医療技術が苦手な人にも働きやすい」と書きましたが、長期的な視点で見ると「医療技術の経験が減るため、長く働いた場合に他の一般科に移ることが難しい」ということも言えます。特に新卒で最初に精神科に入職したり、看護師の実務経験が浅いうちに精神科に転科したりすると後々に苦労することが多いです。

転職を検討している際には長期展望を持って臨むと良いでしょう。